代替医療のトリック- Trick or Treatment?

 

「代替医療のトリック」を読了しました。イギリス人物理学者とドイツ人代替医療研究者の共著なので翻訳版です。専門用語だらけなので、原書で読もうとか思わなくて良かった、、、(笑)
さまざまな代替医療について、かなり突っ込んだ研究とその結果から導かれる結論が述べられています。特に、鍼、カイロプラクティック、ホメオパシー、ハーブ療法については実験の経緯なども含めて詳細が書かれています。

巻末にも多くの代替療法についての見解が述べられているので、代替医療を受ける際、選択する際の参考になる本です。全て科学的分析に基づく内容なので、「効果が認められない」とされているものも数多くあります。

そして今は代替医療に関する過大な広告なども多く、より実態が複雑になってもいます。胡散臭いものも実際たくさんあると思います。

ただ、ここが代替医療の興味深いところですが、多くのものは経験則で効果があると言われて来ているものなので、現代の科学で分析できない部分もあります。もしかしたら100年後の科学では明確に分析されて効果が証明される療法もあるのかもしれません。

実際、指圧もそうなのですが、とても不思議な側面があります。施術者の気持ちが伝わってしまう、触れているだけで痛みが和らぐ(これを証明する学説はありますが、完全に証明されているわけではありません)、全身をやると効果が上がる、などなど。
それだから魅力的で、自分もこの仕事をしようと思ったのだな、と改めて思いました。

 

この本が警告している事で大変納得できるものがあったので、最後にご紹介したいと思います。それは「代替医療に傾倒しすぎる事による通常医療受診機会の喪失」です。

首が痛いからとマッサージを受けたとしましょう。何回か受けてもなかなか楽にならない場合に「あと1ヶ月通い続ければ良くなりますよ」と言われたので信用して通い続けました。そして1ヶ月後、実は脳の疾患だということが分かり、気がついた時には手遅れでした。。。

これは最悪な状況です。もし施術する人が「おかしい」と気づき、脳神経外科の受診を勧めていれば、こうはならないはずですから。こういう事態が起こるとすればそれは、施術者の療法に対する過信が原因です。代替医療に従事する者として絶対してはいけないことです。

私は指圧の力は素晴らしいと思っていますが、万能であるとは思っていません。効果があるものにはもちろんありますが、指圧うんぬんよりもまずは医師の診断をしてもらうことが先決なケースもあります。ですので、問診にできるだけ時間を割いて、必要であれば他の医療機関の受診を勧めたり、施術を行わなかったりします。施術をすることで悪化させてしまうことだってあるかもしれません。

代替医療は英語だと “complementary and alternative medicine (CAM)” と言われ「補完代替医療」です。つまり通常医療の苦手な部分を補完するものです。代替医療はその得意な分野を活かせばいいのです。
私も一指圧師として、このことを理解し、来ていただいた方にとって何が一番いいのかを常に考えて行きます。指圧をするのが本当にベストなのか?病院で検査をしてもらった方がいいのではないか?検査をして診断されてから指圧をした方が良いのではないか? などなど。
自信を持って施術には臨んでも、過信は厳禁。引き続き勉強ですね。

代替医療を受ける人にも興味深い本ですが、代替医療を行う人に読んでほしいな、と思った本でした。

 

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2 Responses to 代替医療のトリック- Trick or Treatment?

  1. 金子智久 says:

    さすが!良いご意見ですね。私も同感です。トリックって表題にあるってことは、結構代替医療に批判的なのかな?それとも、科学的に中立の立場で書かれてるのかな?
    ところで、先日の頸椎ヘルニアの疑いの患者様如何でした?

    • oketaku says:

      科学的見解に基づいた(つまり科学を軸にした、科学的に中立な立場と言えるかも)実験の結果を主題にして理論を展開させています。そのため、科学的に効果が証明できないものについてはかなり批判的です。
      ちまたで見かける本などは、代替医療についてはあいまいな見解のものや、代替医療は絶対善とする内容のものがほとんどなので、改めて代替医療について考えるきっかけを与えてくれる本ですね。

      現代医療、代替医療、それぞれの良い所を補完しあえればすごくいいですが、実際はどちらかに偏りがちですよね。バランスが大事だと思っています。偏らずにその人に最適なものを選択していけるようにするのが、我々の使命だと思います。

      頸椎ヘルニアの件、その後の進展を確認中です。また別途ご報告しますね。